心房細動クリニック

心房細動とは             


 心房内に流れる電気信号の乱れによって引き起こる、心疾患の一種です。大人の不整脈の原因の多くは、心房細動によるものです。心拍数はリラックスしてる時や通常の状態の時、一分間に60から100回ですが、心房細動の場合は心拍数が通常より高くなったり心室収縮が不規則な間隔で起こったりします。時には一分に140回を上回ることもあります。


atrial

 

心房細動の分類

発作性心房細動Paroxysmal atrial fibrillation (PAF)

 心房細動が起きてから7日間以内に自然に、または何らかの治療によって治癒。24時間から48時間以内に正常となる場合がほとんど。

 持続性心房細動 Persistent atrial fibrillation 


 心房細動が起きてから7
日間以上、1年以内に治癒。

慢性心房細動 Longstanding persistent atrial fibrillation


 心房細動が起きてから、
1年以上継続して異常所見がみられる。


永久的な心房細動


 心房細動が長く
持続、医師に完治困難と診断され、または患者自身が治療を諦め、症状を抑える治療のみ受ける場合。

 

心房細動の症状


 心房細動の症状として、不整脈、運動能力の低下、胸部の痛み、混乱、疲れやすい、頭痛、息切れ、めまい、動悸、などがあげられます。中には症状がなく、健康診断などで偶然発見される方もいます。


心房細動の原因


 心房細動は大人の全年代に見つかる病気で、高齢になるほど確率が上がり、75
歳以上で約1割の方が罹っています。この病気を引きを越す原因ははっきりとしていませんが、心臓病や他の病気、アルコールやカフェインの大量摂取等がリスク因子ではないか、とされています。


 詳しい要因は以下の様に分類されます。


心疾患、また心臓の状態によるもの

  •   高血圧
  •   冠動脈疾患
  •   心臓弁疾患
  •   心不全
  •   心筋症
  •   先天性心疾患
  •     心臓手術後

その他の病気、または状態によるもの

  •   高齢
  •   肥満
  •   睡眠時無呼吸症候群
  •   糖尿病
  •   肺血栓塞栓症
  •   慢性肺疾患
  •   甲状腺機能亢進症
  •   心膜炎
  •   ウイルス感染
  •   血液感染
  •   不均衡症候群
  •   代謝不均衡
その他の原因となりうるもの
  •     アルコールやカフェインの過剰摂取
  •   ストレス
  •   特定の薬物の服用 
  •   遺伝的要因


合併症

 心房細動の
合併症のリスクとして「脳卒中」と「心不全」が挙げられます。心房細動は心房内の血液を正常に流すことができず心房に血液がたまり、血餅ができてしまうことがあります。その血餅が血流と一緒に流れて脳血管につまり、脳卒中を引き起こす危険性があります。また、心房振動は心室の収縮が早い間隔で起こり心筋が過剰に使われるため、衰弱し心不全にも繋がります。

診断方法

 心房細動の診断方法は普通の診断法に加えて、心電図検査、24時間ホルター心電計、心エコー検査、血液検査、胸部のレントゲン検査、があります。

治療法

 心房細動の治療では致死リスクや入院率を減らすために4つのことを目標として行われます。

1.    原因を突き止めて治す
2.    心拍数のコントロール
3.    心拍を正常なリズムに保つ
4.    脳卒中予防(血餅を防ぐ)

 この4つの目標を達成させるためには、原因となる間違った習慣を正す、薬物療法、心拍数の調整、アブレーション治療、心臓手術、などといった治療法があります。どの治療法を適用するかは、年齢、病状、症状、心房細動の種類、周囲の環境、発病時期、と言ったさまざまな条件によって決まります。
 
心拍数のコントロール

 心拍数が1分間に110回を上回らないよう、心室に伝わる電気信号を調節する(減らす)4種類の薬を用います。β遮断薬、カルシウム拮抗剤、ジゴキシン、など。

心拍リズムの調整

 心拍リズムを正常な間隔に調整する治療は、薬物療法と電気ショックの二つの方法がありますが、電気ショックは、バイタルサインが不安定、急性心筋梗塞、心房細動中の心不全、と言った命に危険があるときにしか用いられません。

アブレーション治療

 心房細動のアブレーション治療は 左心房内の異常な電気信号の発生源を見つけ出し、そこに電流を流し火傷させ、心房に電気信号が伝わらなくする治療法です。アブレーション治療にはさまざまな方法がありますが、バンコク病院では(Pacific Rim Electrophysiology研究所,カリフォルニア州、アメリカの協力のもとで)世界的に名の知れた専門家の医師、Dr.Koonlawee Nademaneeによる,3Dマッピング映像(CFAE)を利用した手術が行われています。3Dマッピング映像(CFAE)の技術を使うことによって、異常な電気信号の発生源により正確に電流を流すことができる、成功率の高い優れた手術となっております。またこの治療法には、痛みが少ない、破壊された異常信号の発生源が再発しない、などのメリットがあります。

Koonlawee Nademanee医師による年間手術数

  •    2009-2011

    2012

    2013

    2014

    合計

    患者数

    27

    32

    38

    38

    135

    成功率(%)

    93

    88

    85

    84

    84.4

    合弁症:脳卒中発生数

    0

    0

    0

    0

    0


脳卒中の予防

 上の合弁症の項目で説明した通り、心房細動は血餅できやすく脳卒中を引き起こす危険性があるので、血餅ができやすい患者に血餅を防ぐ抗凝固薬を用いすることがあります。しかし、抗凝固薬には出血の副作用があるため、抗凝固薬を使わず別の方法で血餅を防ぐ場合もあります。
 
現在使われている抗凝固薬は以下の様に分類されます:
  • ワルファリン
 昔から使われている抗凝固薬の一つですが、効果が一定せず薬の量を増やしていく必要がある、効果を確認するため血液検査を定期的に行わないといけない、特定の食べ物によって効果が薄まる、多くの薬物に反応する、などのデメリットがあります。
  • 新規経口抗凝固薬(NOAC)
 新規経口抗凝固薬(NOAC)はワルファリンの欠点を解消した近年開発された抗凝固薬です。ワルファリン比べて副作用や他の薬物に反応することも少なく、すぐに効果が出る、服用をやめてからすぐ効果がなくなる、効果が一定して薬の量を増やす必要がない、定期的に血液検査をする必要がない、食べ物によって効果が薄れない、などのメリットがあります。しかし、新規経口抗凝固薬は値段が高く、腎臓に問題ある患者への使用が難しい、急な出血が出た場合の解毒剤がない、などの欠点もあります。